平日の仕事や家事で疲れが溜まっているとき、遠くのキャンプ場まで何時間もかけて移動するのは少し億劫に感じることはないでしょうか。そんなときにおすすめなのが、愛車にお気に入りの椅子を一脚だけ積んで近場の公園へ出かけるチェアリングです。テントもタープも必要ありません。ただ椅子に座って風景を眺めるだけのシンプルな時間が、心身を驚くほどリフレッシュさせてくれます。
チェアリングとは?アーバンアウトドアの新しい形
チェアリングとは、その名の通り椅子(チェア)を持って野外に出て、好きな場所でくつろぐだけのアクティビティです。キャンプのように大掛かりな準備や事前の予約は一切必要ありません。思い立ったその瞬間に、折りたたみ椅子を持って家を出れば、そこからアウトドアの時間が始まります。
このスタイルの最大の魅力は、いつもの見慣れた街の景色が、椅子に座って視点を変えるだけで特別な場所に変わるという体験にあります。
特にバイク乗りにとって、チェアリングは非常に相性の良い遊び方です。キャンプツーリングとなると積載量やパッキングに頭を悩ませることになりますが、チェアリングであれば軽量なコンパクトチェアひとつをシートバッグやバックパックに入れるだけで済みます。
身軽さを維持したまま、風を感じて走り、気に入った場所で椅子を広げてコーヒーを飲む。それは、都市生活と自然との距離を縮める、最もシンプルで贅沢なアーバンアウトドアの形と言えるでしょう。
また、時間的な制約が少ないのも特徴です。一日中滞在する必要はなく、ほんの30分や1時間、木漏れ日の下で読書をしたり、ぼんやりと空を眺めたりするだけで十分な満足感が得られます。
忙しい現代人にとって、隙間時間を活用して自然に触れ合えるチェアリングは、持続可能なリフレッシュ方法として注目されています。
失敗しない都市公園選びのポイント
いざチェアリングに出かけようと思ったとき、意外と悩むのが場所選びです。どこでも良いというわけではなく、快適に過ごすためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
まず一つ目は、バイクの駐輪スペースとサイトまでのアクセスです。有名な公園であれば大きな駐車場が完備されていますが、チェアリングの魅力は気軽さにあります。広大な公園の駐車場から目的地まで何十分も歩くよりも、バイクを停めてすぐに設営ポイントへ行けるような、中規模な公園の方がストレスがありません。事前に地図アプリなどで駐輪場の位置と公園の入り口を確認しておくとスムーズです。
二つ目のポイントは、木陰と地面のコンディションです。チェアリングではタープを張らないため、直射日光を遮るものがありません。そのため、自然の屋根となってくれる大きな木がある場所を選ぶことが重要です。特に夏場や日差しの強い日は、木陰の有無が快適さを大きく左右します。
また、地面の状態も大切です。前日に雨が降っていた場合、土の地面はぬかるんでいて椅子の脚が沈んでしまうことがあります。水はけの良い芝生エリアや、適度に踏み固められた土の場所を探しましょう。椅子の脚に装着するボール状のアタッチメントなどを用意しておくと、地面の状態に左右されにくくなります。
三つ目は、適度なノイズとプライベート感のバランスです。完全に無音の場所よりも、子供たちが遊ぶ声や、風で木々が揺れる音、あるいは街の喧騒が遠くに聞こえるくらいの環境の方が、かえって落ち着くことがあります。
公園のメインストリートから一本外れた小道や、池のほとりなど、人の動線から少し離れたスポットを見つけるのがコツです。自分だけの特等席を探すプロセスもまた、この遊びの楽しさの一部です。
心地よく過ごすための装備とマナー
チェアリングに必要な装備は極めてシンプルですが、選び方には少しこだわりたいところです。主役となる椅子は、背もたれがあり深く座れるタイプのリラックスチェアがおすすめです。バイクでの移動を考えると、軽量でコンパクトに収納できるヘリノックスタイプなどが適しています。それに加えて、飲み物を入れるマイボトルを一冊の本があれば十分です。
お湯を沸かすためのバーナーやクッカーを持っていくのも良いですが、多くの都市公園では火気の使用が制限されていることが多いため、自宅で淹れたコーヒーを保温ボトルに入れて持参するのが最もスマートで確実な方法です。ゴミを出さず、環境にも優しいこのスタイルは、エコフレンドリーなバイクライフを目指す私たちの理念にも合致します。
そして何より大切なのが、公園を利用する際のマナーです。公園は公共の場所であり、近隣住民の方々の憩いの場でもあります。通路やベンチの前など、他の利用者の妨げになる場所に陣取るのは避けましょう。
また、長時間の占有も控える配慮が必要です。音楽を聴きたい場合はイヤホンを使用し、自然の音や街の音を楽しむ余裕を持ちたいものです。
まとめ
遠くの名所へ出かけるツーリングも素晴らしいですが、近場の公園で過ごす静かな時間にも、また違った豊かさがあります。チェアリングは、大掛かりな準備を必要とせず、日常の延長線上で手軽に非日常を味わえる最高のアクティビティです。場所選びのコツさえ掴めば、いつもの散歩コースが最高のリラックス空間に変わります。
次の休日は、シートバッグに椅子とコーヒーボトルだけを詰め込んで、あなただけのお気に入りの場所を探しに出かけてみましょう。身近な自然の中で深呼吸する時間は、明日からの活力を養う大切なひとときになるはずです。

